Can-doとは言語の熟達の、ある段階でできる言語活動や持っている言語能力の例を「~できる」という形式で示した文です。

1.Can-doでできること

Can-doにより、日本語の熟達度を客観的に把握したり、学習の目標を具体的に示したりできます。さらに熟達度や目標を他の人や他の機関と共有することができます。

2.「JF スタンダードの木」と「Can-doの6レベル」

みんなのCan-doサイトは「JFスタンダードの木」と「Can-doの6レベル」をもとにCan-doを提供しています。

①「JFスタンダードの木」

CEFRの考え方に準じて、言語によるコミュニケーションの力を整理・例示したものです。

木の根として表現されるのが、言語能力の構成要素の例です。木の枝として広がるのが、主な言語活動の例です。

「JFスタンダードの木」のひとつひとつの根や枝で表された言語能力の構成要素と、言語活動の例をカテゴリーと呼びます。Can-doサイトでは53のカテゴリー別にCan-doを探すことができます。教育現場では、「JFスタンダードの木」のどの部分を学習目的とするかを考えることで、学習目的をより明確にし、多様な学習者のニーズや学習効果をとらえやすくなります。

②「Can-doの6レベル」

Can-doは、CEFRの言語熟達度の尺度に準じてレベルづけされています。

言語熟達度は大きく3段階に分かれます。

  • A:基礎段階の言語使用者(Basic User)
  • B:自立した言語使用者(Independent User)
  • C:熟達した言語使用者(Proficient User)

A、B、C各段階は2段階に分かれ、全部で6レベル(A1、A2、B1、B2、C1、C2)となります。下の図は、「講演やプレゼンテーションをする」の言語活動のCan-do例です。レベルが上がるにつれて、どのような講演やプレゼンテーションができるようになるかがわかります。

6つのレベルは等間隔ではなく、A2,B1,B2のレベルの幅はA1,C1,C2よりも広いため、A2,B1,B2をそれぞれA2.1/A2.2,B1.1/B1.2,B2.1/B2.2に分けて、全部で9つのレベルでCan-doを記述することもあります。

サイトでは、CEFR Can-doを9レベルから選択することができます。

6レベルの大まかなイメージを確認するには→「CEFRの共通参照レベル:全体的な尺度

技能別のレベルを確認するには→「CEFRの自己評価表

3.Can-doの種別と種類

■Can-doの種別

Can-doには3つの種別があります。

CEFR Can-do493個、A1~C2の6レベルから選択できる。 CEFRが提供するCan-do。汎言語的な記述で抽象性や包括性が高い。日本語訳は、『外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠』」初版第2刷(吉島茂、大橋理枝 訳・編、朝日出版社)にもとづいている。
JF Can-do552個、A1~B2の4レベルから選択できる。 日本語のコミュニケーション言語活動を例示したCan-do。国際交流基金がCEFRを参照し、独自に作成した。15のトピックがつき、具体的・現実的な場面や状況を示す。作成の経緯や手順は資料参照。
MY Can-do サイトの利用者が、各環境に合わせてオリジナルで作成するCan-do。CEFR Can-doやJF Can-doを参照して作成する。

作成の方法については「利用者のためのガイドブック」1.4章

例示があるCan-do
「例示があるCan-do」には、会話やタスクの例などの参考情報がある。
JFまるごと
・・・タスクや、会話、テキストの例をJF スタンダード準拠コースブック
『まるごと 日本のことばと文化』で見られる。※JF Can-doのみ

●言語活動例へのリンクがあるCan-do

みんなのCan-doサイトで提供しているのはCEFR Can-doとJF Can-doです。検索画面では、CEFR Can-doを提供するカテゴリーにはCが、日本語による言語活動を表すJF Can-doを提供するカテゴリーにはJがついています。

CEFR Can-doとJF Can-doの使い分けについてはCan-doを使うときの留意点

■4種類のCan-do

Can-doには4種類あります(活動Can-do、テクストCan-do、方略Can-do、能力Can-do)。これらは、CEFRの考え方にもとづいた、コミュニケーション言語活動とコミュニケーション言語能力を例示するCan-doです。

4種類のCan-doの使い分けについてはCan-doを使うときの留意点

言語活動を例示するCan-do

活動Can-do

実社会で行う具体的なコミュニケーション言語活動を例示しています。 の3つに分類されます。

読む・聞くなどの受容的活動

一人で長く話す、書くなどの産出活動

会話やメールのやりとりなどの相互行為活動

テクストCan-do

の 間をつなぐ言語活動で、ノート取りや要約など、まとめたり言い換えたりする活動を例示しています。

方略Can-do

言語能力を効果的に使って言語活動を行うための方略を例示しています。

言語能力を例示するCan-do

能力Can-do

言語活動を行うために必要な言語能力を例示しています。

  • ・言語構造的能力(linguistic competences):語彙、文法、発音、文字、表記などに関する能力
  • ・社会言語能力(sociolinguistic competences):相手との関係や場面に応じて適切に言語を使う能力
  • ・語用能力(pragmatic competences):談話を組み立てたり、言語使用の役割や目的を理解して適切に言語を使う能力。
■カテゴリー

みんなのCan-doサイトでは、Can-doを「JFスタンダードの木」のカテゴリーに分類して提供しています。

■トピック

日本語のコミュニケーション言語活動の例を示したJF Can-doには、トピックがついています。トピックによって、言語活動の場面や内容が、よりイメージしやすくなっています。各Can-doには、15のトピックのうち、もっとも関係が深いトピック(第1トピック)のほか、関連がありそうなトピック(関連トピック)もついています。みんなのCan-doサイトの検索画面でトピックを選択して検索すると、第1トピックや関連トピックにあてはまるものが検索結果に表示されます。

トピック トピックの説明
1 自分と家族 自分や家族に関すること(家族構成、身体的特徴など)
2 住まいと住環境 住居や居住地域に関すること(部屋、家具、周辺施設など)
3 自由時間と娯楽 余暇や趣味に関すること(スポーツ、映画、音楽など)
4 生活と人生 日常生活やライフステージに関すること(日課、入学、結婚、子育てなど)
5 仕事と職業 仕事と職業に関すること(企業、職種、職務など)
6 旅行と交通 旅行と交通に関すること(旅程、公共交通機関、観光など)
7 健康 身体や健康に関すること(病気、通院、生活習慣など)
8 買い物 買い物に関すること(店、支払いなど)
9 食生活 食生活に関すること(飲食、レストラン、料理など)
10 自然と環境 自然や環境に関すること(天候、季節、環境問題など)
11 人との関係 人づきあいに関すること(交際、トラブル、マナーなど)
12 学校と教育 教育機関や教育に関すること(学校、学習環境、教材など)
13 言語と文化 言語や文化に関すること(外国語、冠婚葬祭、伝統文化、ポップカルチャー、異文化体験など)
14 社会 社会に関すること(政治、産業、経済、国際関係など)
15 科学技術 科学技術に関すること(最新テクノロジー、サイエンス、メディアなど)
■サイトで提供するCan-do
Can-doの種類 合計 レベル 備考
活動 方略 テクスト 能力
CEFR 319 46 15 113 493 CEFR Can-doは、全てのカテゴリーにあります。
JF 552* 0 0 0 552

*JF Can-doは次のカテゴリーにはありません。

  • ・聞くこと全般 ・母語話者同士の会話を聞く
  • ・読むこと全般 ・話すこと全般
  • ・書くこと全般 ・口頭でのやりとり全般
  • ・母語話者とやりとりする
  • ・文書でのやりとり全般
■Can-do一覧表

Can-doの一覧表はこちら

4.Can-doの記述内容

Can-doを読むことによって、記述されているカテゴリーの特徴や、熟達度が上がるにつれて、何がどのように変わるのかを理解することができます。

能力Can-do

の記述内容は「能力Can-do一覧」

活動Can-do

の記述内容は「活動Can-doのレベル別特徴一覧」

5.Can-doを使うときの留意点

① Can-do の他に必要な言語材料を準備する

目標設定や評価を行うためには、Can-doだけではなく、Can-doの達成に必要な言語材料(語彙や文法項目など)をリストアップするなどの準備が必要です。専門知識や学習能力など、現時点ではCan-do で記述されていない能力を扱うかどうかについても、検討が必要です。

②目的に合わせてCan-doを使い分ける・組み合わせる

目的に応じてCan-doを選んだり組み合わせたりすると、Can-doを効果的に利用することができます。

  • 例① 授業目標の設定
    言語活動を例示する

    活動Can-do

    方略Can-do

    テクストCan-do

    は、現実社会での言語活動を記述しており、授業活動や評価のための課題をイメージすることができるため、目標設定に向いています。 CEFR Can-doとJF Can-doそれぞれの

    活動Can-do

    は次のように使い分けることができます。

    CEFR Can-do・・・抽象度が高く、場面や状況を特定しないため、特にコース全体の目標の設定に向いています。

    JF Can-do・・・日本語の使用場面での具体的な言語活動をイメージしやすいため、特に各授業の学習目標の設定に向いています。

  • 例② 評価基準や評価シートの作成
    言語能力を例示する

    能力Can-do

    は、学習成果の評価基準や評価シートの作成に向いています。

    能力Can-do

    のカテゴリーを参考にして、評価の観点を決めることができます。
③関連性のあるCan-do を見比べる

具体的な内容やレベルの特徴をよく理解してCan-doを活用するために、複数のCan-doを見比べることが大切です。

■同じカテゴリーのCan-do

上下のレベルのCan-doを見比べるとCan-doの内容を具体的に理解することができます。下表は「講演やプレゼンテーションをする」というカテゴリーのCEFR Can-do です。例えば、B1のCan-doだけではB1レベルのプレゼンテーションの内容や質がイメージできなくても、A2のCan-doやB2のCan-doと見比べることで、上下のレベルとの違いがわかり、それがどの程度のものなのかを理解することができます。

CEFR Can-do(講演やプレゼンテーションをする)
C2 話題について知識のない聴衆に対しても、自信を持ってはっきりと複雑な内容を口頭発表できる。聴衆の必要性に合わせて柔軟に話を構造化し、変えていくことができる。 難しい、あるいは敵意すら感じられる質問に対処することができる。
C1 複雑な話題について、明確なきちんとした構造を持ったプレゼンテーションができる。補助事項、理由、関連例を詳しく説明し、論点を展開し、立証できる。 聴衆からの不意の発言にも対応することができる。ほとんど苦労せずに自然に反応できる。
B2 事前に用意されたプレゼンテーションをはっきりと行うことができる。ある視点に賛成、反対の理由を挙げて、いくつかの選択肢の利点と不利な点を示すことができる。 一連の質問に、ある程度流暢に、自然に対応ができる。話を聞く、あるいは話をする際に聴衆にも自分にも余分な負荷をかけることはない。
B1 自分の専門でよく知っている話題について、事前に用意された簡単なプレゼンテーションができる。ほとんどの場合、聴衆が難なく話についていける程度に、はっきりとしたプレゼンテーションをすることができ、また要点をそこそこ正確に述べることができる。 質問には対応できるが、質問を話すスピードが速い場合は、もう一度繰り返すことを頼まねばならない。
A2 身近な話題について、短い、練習済みの基本的なプレゼンテーションができる。 質問を繰り返し言ってもらい、回答するのに何らかの助け船を出してくれる人がいるなら、話し終えた後から出される簡単な質問に答えることができる。
A1 非常に短い、繰り返された表現を読むことができる。例えば、話し手の紹介や乾杯の発声など。

またCEFR Can-doとJF Can-doを並べて見ると、そのレベルの言語活動をより詳しくイメージできます。下表は「講演やプレゼンテーションをする」というカテゴリーの、B1のCEFR Can-do とJF Can-doです。CEFR Can-doには、汎言語的にB1レベルの学習者のプレゼンテーションがどのようなものなのかが示されています。一方JF Can-doには、日本語による場面と状況での内容が書かれています。CEFR Can-doとJF Can-doを並べて見ることで、現実社会でできるコミュニケーション言語活動と、それを達成するために必要な能力や知識をイメージすることができるのです。

CEFR Can-doとJF Can-do(講演やプレゼンテーションをする B1)
種別 Can-do本文(日本語) トピック
CEFR 自分の専門でよく知っている話題について、事前に用意された簡単なプレゼンテーションができる。ほとんどの場合、聴衆が難なく話についていける程度に、はっきりとしたプレゼンテーションをすることができ、また要点をそこそこ正確に述べることができる。
JF ガイドとして有名な観光地などを案内するとき、あらかじめ準備してあれば、名所や名物などを、ある程度詳しく紹介することができる。 仕事と職業
JF 友人の結婚パーティーなどで、あらかじめ準備してあれば、新郎新婦の人となりを表わすようなエピソードなどを含んだまとまりのある簡単なスピーチをすることができる。 人との関係
JF 講演会などで、あらかじめ準備してあれば、講演者の人となりや経歴などを、ある程度詳しく聴衆に紹介することができる。 学校と教育
JF 弁論大会などで、あらかじめ準備してあれば、異文化体験の出来事や感想などを含んだまとまりのある簡単なスピーチをすることができる。 言語と文化

みんなのCan-doサイトでは、選んだCan-doと同じカテゴリーのCan-doをレベル別に表示して、簡単に見比べることができます。

Can-do の 検索結果画面
■関連Can-do

関連Can-doとは、現実場面での課題達成に深く関連すると考えられるCan-doのことです。現実社会で言語を使って課題を達成するプロセスは複雑で、必要となる能力が複数関連します。また、一つの課題を達成するために行われる言語活動の内容によって、必要となる言語能力や、方略やテキストのCan-doが変わります。

下図はB1レベルの「講演やプレゼンテーションをする」という言語活動における関連Can-doを示したものです。

みんなのCan-doサイトでは、選んだCan-doの関連Can-doを表示できます。

Can-do の 検索結果画面

関連Can-doによって、ある言語活動を達成するために必要な言語能力や方略・テキストは何かを確認でき、評価の観点や基準を定める時に役立ちます。関連Can-doは基本的に同じレベルで、同じ言語活動の種類(受容・やりとり・産出)に分類されるものを表示しています。具体的な関連づけは次のとおりです。

活動Can-doの関連Can-do

同じレベルで、同じ活動の種類()の以下のCan-do;

活動Can-doで同じカテゴリーのCEFR Can-doと代表的なCan-do

テクストCan-do

方略Can-do

能力Can-do

方略Can-do能力Can-doテクストCan-doの関連Can-do

同じレベルで、同じ活動の種類の以下のCan-do;

代表的な活動Can-do

テクストCan-do

方略Can-do

能力Can-do

④自分の現場に合ったMY Can-do を作る

CEFR Can-doもJF Can-doも、すべての言語活動と言語能力を網羅したものではありません。各教育現場では、言語能力や言語活動のカテゴリーや、すでにあるCan-do を参考にしながら、学習者のニーズや目的に合ったCan-doを新たに作る必要があります。これをMY Can-doと呼びます。

6.Can-do一覧表

7.サイトで使う用語

CEFR

Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment(外国語の学習、授業、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)の略。ヨーロッパの言語教育・学習の場で共有される枠組みです。 CEFRは、2001年に制定されて以来、ヨーロッパのみならず世界で広く着目され、多くの言語で実際に利用されるようになりました。

JF 日本語教育スタンダード

JF日本語教育スタンダード(JFスタンダード)は、日本語の教え方、学び方、そして学習成果の評価の仕方を考えるためのツールです。 JFスタンダードは、CEFRの考え方にもとづいて開発されました。JFスタンダードを用いることにより、日本語の熟達度をCEFRに準じて知ることができます。また、コースデザイン、教材開発、評価などに活用できます。

Can-doフォルダ

Can-doフォルダとは、各ユーザーがCan-doを保存するフォルダのことです。コースデザイン、授業設計、教材開発、テスト開発など、目的や対象に応じて各ユーザーがCan-doフォルダを作ることができます。Can-doフォルダには、<フォルダの使用目的><フォルダ名><概要><学習時間>などを基本情報として入力します。

*利用には、ユーザー登録が必要です。

8.Can-do/Can-doサイトに関する資料

■ JF スタンダード開発段階におけるCan-doの作成過程

塩澤真季・石司えり・島田徳子(2010)「言語能力の熟達度を表すCan-do記述の分析―JF Can-do 作成のためのガイドライン策定に向けて―」『国際交流基金日本語教育紀要』 6、23-39

http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/research/report/06/pdf/02.pdf

森本由佳子・塩澤真季・小松知子・石司えり・島田徳子(2011)「コミュニケーション言語活動の熟達度を表すJF Can-doの作成と評価―CEFRのA2・B1レベルに基づいて―」『国際交流基金日本語教育紀要』7、25-42

http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/research/report/07/pdf/121206_02.pdf

■ Can-doサイトを紹介する論文

押尾和美・磯村一弘・長坂水晶(2013)「JF日本語教育スタンダードのCan-doデータベース」『日本語学』32-3、44-56

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